アルプス国際行政書士事務所
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遺留分とは、一定の相続人(兄弟姉妹を除きます。)が相続分をもらうことができるよう法律上保証された最小限度の割合のことです。
遺産分割は、前述までにご説明したように相続人間で自由な割合で分割することができますが、遺言書がある場合にはその遺言書で指定された相続人または受贈者が相続することになります。
被相続人は、原則として自由に自分の遺産を遺言で処分することが可能であり、自分の財産をすべて孫や兄弟姉妹、親族、友人、会社、その他の団体に相続または寄附をするという遺言も有効です。しかしながら、その遺産の中には法定相続人の貢献及び寄与によって維持または増加したものもあり、また、遺族が配偶者や幼い子供などの場合、その遺産を相続できなければ法定相続人がその後生活できなくなることもあります。
法律では、このような法定相続人の権利を守るために、最低限相続させる割合を定めており、その割合が遺留分と呼ばれるものです。なお、兄弟姉妹には遺留分がありません。
遺留分の割合は下記のとおりです。
法定相続人 | 遺留分 |
配偶者、子、孫 | 法定相続分の1/2 |
親のみ | 法定相続分の1/3 |
兄弟姉妹 | 遺留分なし |
遺留分の計算の基準となるのは被相続人の財産であり、被相続人の死亡時の財産とは異なります。
遺留分は、被相続人が死亡当時実際に所有していた財産の評価額に、他人に贈与した額を加え、その合計額から負債の全額を差し引いて算出します。
他人に贈与した額の中には、被相続人の死亡時の1年前に他人に贈与したものと、相続人の遺留分を侵害することを知ってした贈与すべてが含まれます。つまり、遺留分を侵害することを知ってした贈与であれば、何年前の贈与であっても遺留分の算出の際に加える贈与となります。
被相続人が、生前贈与または遺贈によって贈与した財産の額が、相続人の遺留分に食い込んでしまったときは、その食い込まれた分だけを贈与や遺贈から取り返す権利を持っています。これを、遺留分減殺請求権といいます。
相続人は遺留分に相当する割合の贈与や遺贈される金品について、すでに相続人の手元にないときはこれを受けた相手方から取り返すことができますが、まだ相続人の手元にあるときは、相手方に引き渡すことを拒絶することができます。これらも遺留分減殺請求権として、民法第1031条で規定されています。
相続人は、自分の遺留分に食い込むような贈与や遺贈を取り返す必要があるときは、まず遺贈のほうから取り返し、それでもまだ遺留分に満たないときは贈与のほうから取り返すことになります。
また、数口の遺贈がなされているときは、それぞれの遺贈から、その評価額の割合に応じて遺留分に食い込んだ分を取り返すことになります。ただし、被相続人が遺言書の中で特別の意向を明示しているときは、その意向に従います。
数口の贈与がなされているときは、以前になされた贈与(古い贈与)よりも後の贈与(新しい贈与)から先に、遺留分に食い込んだ分を取り返すことになります。この取り返す方法は、遺言書で別途定めることは許されません。
相続人により遺留分減殺請求があり、贈与や遺贈による財産を返還するときには、その遺留分減殺請求をした後に受け取った収益も一緒に返還しなければなりません。たとえば、建物を贈与してもらっていてその建物を他人に賃貸し家賃収入を得ているときは、その家賃も返還しなければなりません。また、株式を贈与されている場合にはその配当金も返還しなければならず、金銭の贈与を受けている場合には、その金銭に年5%の利息を付けて返還しなければなりません。
相続人が遺留分減殺請求をしたが、贈与または遺贈を受けた者にすでに資力がないときは、その者の資力の範囲内で返還を受けるしかなく、まったく資力がない場合には相続人はあきらめるしかありません。
贈与や遺贈を受けた者がすでにその財産を処分してしまった場合には、その評価額を返還すればよく、たとえば、処分してしまった不動産を買い戻してまで返還する必要はありません。
遺留分減殺請求権は、相続人が自分の遺留分に食い込むような贈与や遺贈があったことを知った時から1年を経過したときは時効によって主張できなくなります。また、被相続人が死亡した事実を知らなかったとしても、相続がはじまった時から10年を経過したときは時効により主張することができなくなります。
遺留分は、相続開始前に家庭裁判所の許可を得て放棄することができます。共同相続人の一人が遺留分を放棄したとしても、他の相続人の遺留分が増えることはありません。
一方、相続開始後に遺留分を放棄するときは、特段の手続きは必要ありません。